自選日記2002


2002/01/14
Mon.
「謝る、とは何ぞや」

待ち合わせ時間に遅刻したので相手に謝る。
まあ、妥当でしょう。約束を破ったんですから。

政治家の不正が発覚したのでその政治家は国民に謝罪した。
これも妥当です。謝罪で済めばいいですけど。
これは約束を破ったというよりは、法律を破り、有権者の期待に背いたのですね。

で、今日、とある番組内で稲垣吾郎君が謝ってました。
彼は何故、不特定多数の視聴者に対して謝ってるんでしょう?
不思議です。
その必要はなくないですか?
ちょっと良く考えてみましょう。

罪状は道路交通法違反で起訴猶予処分、とのことですが、よくある話ですよね。
駐禁切られそうになってはむかって公務執行妨害?のような感じですかね。

この事件によってテレビ局や事務所は「対外的なメンツのために(だけ)」稲垣君を謹慎させます。
まあ悪いことしたんだから本人としても従うでしょう。
(この謹慎に関して法的な拘束はないはずです)

さて、では誰に迷惑がかかるのか。
稲垣君に給料を払っている事務所だかレコード会社だかには迷惑かかってるでしょう。
まあ彼らに謝る理由はあるでしょうね。
ではひとまずSMAPファンを除いた不特定多数の視聴者に謝る必要はあるのか?
何のために?
そのうちの一人であるこの僕はどうか?
謝ってもらう必要なんてまったくないっすね。
今後彼が同じ職業で頑張っていけるかどうかっていうのは彼自身の問題ですし。
法的には既に罰せられてるわけですし。

さて、問題のSMAPファンに対してはどうか。
当時のコンサート観戦予定者に対しては問題あり(謝罪の必要あり)だと思いますが、
でもそれ以外の、単にテレビ見てるだけの人や何かには必要ないと思うんですね。
謝られたからってだから何?っていう感じじゃないですか。
謝ったから許す?誰が誰の何を許すんでしょう。
それで離れていくなら離れていくし、そういうことがあっても応援する人は応援するだろうし。

結局、「テレビで謝罪させられてる稲垣君」というのは都合の良いパンダなわけですね。
稲垣君で金儲けしてる、特にマスコミの人たちにとっては。


最後に、読売新聞にサントリーの広告として掲載されていた伊集院静さんの文章を(無断)抜粋します。
誰にともなく。

-前略-
でも君、二十歳のポケットに、かんたんに、大人を入れないで欲しい。
いや、「大人になんかなるな」と私は言いたい。
君たちはもう二十年生きてきて、そのポケットには、夢が、希望が、好きな音楽が、ファッションが、好きな人の笑顔があるはずだ。
そして悩みや、口惜しさや、ため息や、涙も、ちゃんとあるはずだ。実はそれが一番大切なものだ。
それらのものを手離さずに、新しい大人になって欲しい。
テレビで戦争をドラマのように映し、隣人の不幸を他人事のように話している大人なんかになる必要はないんだ。
君は世界に一人しかいないんだ。その君の、ポケットにあるものこそが新しい世界の可能性だ。
-後略-

二十歳のポケット/伊集院静



2002/04/07
Sun.
「ハレの日」

クリスマスとか。
バレンタインデーとか。

バカ日本ではその意味が変な意味で解釈されていますよね。
クリスマスとは、前に日記にも書いた記憶がありますがキリストのミサ、
すなわちイエス・キリストの誕生日をお祝いしようという日のはずです。
それが日本では何だかよく分からないカップルのイベントになってますね。
そうでなければ何となく家族でケーキでも食べるんでしょう。
キリスト教徒でもないのに。

バレンタインデーもそうですが、こっちは宗教的な理由すらないし、
純粋に商業的な宣伝活動の一環で始めた企業の戦略のはずなので、
これに乗っかってホレタハレタのイベントに勝手にしてもらっても構いませんけど、
何ていうか格好悪い日本の風習やなあと思えますし、もうホント地に落ちちゃってますよね。

日本人のカップルが何かイベントを催したいなら七夕を使えっつの!
その方がロマンチックだと思いません?
由来的にもね。

そんな中、誕生日つうのがあります。
じゃあ何で貴方は誕生日をお祝いする/されるのか?
理由とか考えたことあります?
やっぱり(政治的なor腹黒いor下心のある)イベントを開催する単なるきっかけ?

六田登さんが、その著作(多分「F」です)の中でこんなことを書いてたような記憶があります。
「人間が生きているというのはそれだけで物凄い奇跡のようなことなんだ」、と。
日本に住んでいる限り、
「単に人が一人生きて生活していること」
というのは最早何の意味も持たないように見えます。
生きていることなんて当たり前で、いわゆる人並みの生活をしていることですら日本では当たり前ですから。
その奇跡を祝っていては毎日がお祝いになってしまいますね。

そこまで立ち返って考えなくとも良いと思いますが、ある人がこの世に誕生して、
その人があなたに対して何らかの恩恵を与えてくれたことがあるなら、
大事な何かを貰いつづけているなら、
その人が誕生した日をお祝いすることって理に適ってません?
目に見えるもの/見えないもの、あなたはその人から何かを貰ったのかどうか。
その人がいてくれることへの感謝(ひいてはその人の誕生ですよね)を表したいなら、
それは誕生日かなという気はします。

父の日/母の日も商業的な腹黒い邪な企業の下心が滲み出ていますが、
お父さんお母さんに対する感謝の気持ちは、まあ、何回あってもいいんじゃないですか。

数あるイベントのうち、本当の「ハレの日」がどれなのかちゃんと考えましょうね。
(むかーしは出産は「ケガレ」だったらしいけどそんなことはこの際無視)
意見はたくさんあって良いと思います。



2002/04/16
「店舗拡大と消費者層の変遷」

ZOFFっていうメガネ屋さん、ご存知でしょうか。
渋谷のマークシティに新しくできたらしいです。
今度大阪のミナミにもできるらしいです。
最初、下北沢と表参道と池袋の三店舗だったんですね。
度入りの割とこじゃれたメガネが5000円、7000円、9000円ですよ。
それはもう、どの店舗に行っても土日はバーゲンかというくらいの人ごみな訳です。

当然調子に乗るでしょう。
儲かりますね。
店舗増やしますね。
そうするとどうなるか。

まず購入者層が変わりますね。
つまり誰もがZOFFのメガネをかけている(又は知っている)ような状態が来ますね。
誰もがユニクロの服を着るように。
そしてマネっこする店が出てきますね。すでに何件か有りますね。
そうするとある種の価値はなくなってしまう訳ですね。
消費者から見るとマネっこ店のメガネもひっくるめて「格安度入りメガネ」ですから、
十把一からげ的に質も落ちますね。
ユニクロの会社(ファーストリテイリング)が今何やってるかって、野菜作ってますね。

ある種の購入者層を引き入れてしまうとどうなるか。
一時的に爆発的に売れますね。
そしてケツの毛まで抜かれたように波はひいていきますね。

今、どいつもこいつもサッカーサッカー言いますね。
コンビニとか、CMとか、やたらサッカーのユニを着た人がノボリとかポスターに写ってますね。
そいつらは本当にサッカーを応援してる訳じゃないんですね。

本当に悲しいことです。
一体そのうちのどれくらいの人が、今度の土曜のJリーグを見るのでしょう。

ブーム、ってなんでしょう。
蝗の大群ですか。
タチが悪いにもほどがありますね。

今年の春の流行色は..って、あなた。
預言者ですか。
そうですか。



2002/08/07
Thr.
「備わるべき想像力」

子供が出来ると、父親は変わる。溺愛する。
どうもかなりの確率でそうらしい。
そうでない人も見ているので10割ではないが。

これが端から見ていると笑える。ていうか笑えない。
(これ、控えめに言ってます)

今週は幕張メッセで恐竜展かなんかを開催していて道路が非常に混んでいる。
ま、しょうがない。そんな場所を勤務地に選んだ俺が悪い。それはいい。

本屋でも恐竜フェア、みたいのをやってて、親子で本なんか見たりしている。
まず父親は、

その本が売り物であることを、まず子供に教えることから始めた方が良い。

そんな風に扱われた本を、あなたが買う段になったらどう思うのか、と。
親子揃って想像力がないのは俺としては困る。
よろしく頼む。



2002/09/21
Sat.
「青森にて」
津軽

奥入瀬渓流を取り巻く環境の、人間の厚かましさやエゴに呆れ、苛立った私は温泉を求めた。
その温泉は青森県岩木山の麓にある。
ハズレアイテムを見つけてくるのが上手な友人Mは今度もやはり素晴らしい温泉を見つけてきた。

まあ見るからに怪しいんだが、入ってみたらやっぱりオジイしかいなかった
「そこに寝っころがるかあ!?」
てな所に、スッポンポンで平気で寝転んでいる。
そして異様に湯が熱い。
つかるまでに1分程度要し、1分と浸かっていられない。
そんな熱湯にオジイたちはザブザブと浸かっていく。

この温泉で私はロッカーの鍵を紛失してしまうのだが、その前に説明しておかねばならない。

青森のオジイ/オバアの言葉は、95%理解できない。
まだ英語のほうが通じる。
いや、私は英語はどちらかというと喋れない方だ。
それでもどっちが聞き取れるかというと英語だ。
津軽弁?青森弁?よく分からないがとにかく謎の言葉だ。

鍵をなくした俺はフロントのオバアのところへ。
彼女は俺に分かるような言葉を使ってくれ、マスターキーとおぼしき鍵を渡し、これで開けてみろと言ってくれた。

しかしそれは鍵穴にささりすらしなかった
その他にも色々な鍵を渡してくれるんだがどれも合わず、さすがに焦ってきた。
そんなやりとりを、狭い脱衣所でしているので、他のオジイ達もナンダナンダと俺をオバアのやりとりを見ている。

ここからははっきり言ってコントだ。

一人のオジイが「ナントカカントカー」と俺とオバアに言っている。
津軽弁だから俺には全く分からない。
オバア曰く、「今、風呂場に入っている別のオジイが鍵を目撃したらしい」と言っているらしい。
なので俺は服を着たまま風呂場へ。

数人のオジイに「鍵をご存知の方いらっしゃいませんか?」と声をかけると、奴は来た。
「フガフガフガー」
と言っている。
ただでさえ分からないんだから、その右手に持っている入れ歯をまず入れてくれ。頼む。

その入れ歯オジイ2(スッポンポン)と、まともオジイ1(スッポンポン)、それからオバアが俺を三角形的に取り囲み、
あーでもないこーでもないと言い合っている。
その会話を俺は分かっているようなフリをしながら全然分かっていなかった。

どうやら入れ歯オジイがロッカーの方を何度も指差してフガフガ言うので、
全員でロッカーの方を見るのだがよく分からない。

ひょっとして入れ歯オジイのセリフはこっちの人でも分かってなかったんじゃないだろうか。
目を凝らしてよく見ると、使われていないロッカーの鍵の部分に俺の鍵がかかっていた!

その入れ歯オジイが落ちていた鍵を別のロッカーの鍵のところにに引っ掛けてくれていたらしい。
ありがたいがややこしい。
皆でオー、と歓声を上げた後、奴らは再び俺の分からない言語で良かった良かったと話し始めた。

頼むから俺に会話を振らないでくれ。

それを傍から見ていた友人Mは、
「最近のコントで一番面白かった」
と言っていつまでも思い出し笑いをしていた。


百沢温泉

あるいは笑いの宝庫なのかもしれない。



2002/10/24
「Number」

こういうきちんとした内容の雑誌を読んでると、
世に流布されるゴシップや噂がいろんなものを含んで膨張しているかが分かりますね。
妬みとか、劣等感とか、羨望とか、そういう類の負の感情。

人間は法のもとに平等でも、それ以外は全て不平等なんです。

あ、思い出したのでちょっと書くこと変えます。
少し前に「男子校/女子高を撤廃しよう」っていう運動をしているウスラバカの集団がテレビで特集されてました。
理由が差別だって言うんです。
「区別は差別ですからね」などとおっしゃられておりました。

世の中から差異をなくすってことがどういうことか分かってるんでしょうかね。
このウスラバカ達は。

何度も言いますが、人間は法のもとに平等でも、それ以外は全て不平等なんです。
だからあなたは一人の人間なんでしょうが。

だから

だから職業もたくさんあるし、
幸せな家庭があるし、
不幸な生い立ちの人もいるし、
金持ちと貧乏もいるし、
お前たちみたいなウスラバカもいるし、
努力の末にヨーロッパで活躍できる日本人サッカー選手もいるし、
やりたいこと見つけられないで悶々としている人もいるし、
自国を誇りに思えない人もいるし、
自国に誇りを持ちたいと思っている人もいるし、


人間は法のもとに平等でも、それ以外は全て「幸運なことに」不平等なんです。
ワカリマスカ?





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