「旅日記 新富士〜本栖湖〜南アルプス」

「新富士駅にて」
友人Mとのテント旅行もかれこれ7年目を迎え、僕達は学生から社会人になりおっさんになりそのバイタリティを失いつつあるがしかし、今年も案の定決行することとあいなったのである。
今までの旅行のコンセプトは、ズバリ、
「安く、遠く」
であった。誰に言っても「馬鹿じゃないの」と言われるような旅をしてこれたと自負している。しかし社会人になり昔ほどに休暇を旅行に充てられなくなった今、そのコンセプトは変わってきつつある。今回のテーマはズバリ、
「男の料理そして焚火」
である。川沿いで焚火などおこしてワイルドに魚を食ったりコーヒーを堪能したり地ビールをプハーッとしてやろうじゃないかというのだ。僕達に与えられた期限は二泊が限度。
これらの目的が如何にして達成されたか、はたまた達成されなかったのかを以下に記したい。

出発日は1999年9月4日。早速の曇天。今にも雨は降ろうとしている。
友人のMとは新幹線の新富士駅で待ち合わせした。
僕が千葉、彼が愛知県に住んでいるためその中間地点が新富士なのだ。

Mよ。遅刻するのはいいが雨まで連れて来ないでくれ。
そう、彼は雨男である。
彼とともに行った四万十川も雨で氾濫していた。
彼とともに行った鹿児島も台風で死人が出ていた。

...僕が雨男なのか?

兎も角、彼の車で北上し、山梨県へと向かったのであった。


「上九一色村を通る」
本栖湖へ向かう道すがら、地図を眺めていたMが一言、
「上九一色村があんねんけど。」
呟いた。
そのときの僕達は何やらエモイワレヌコウフンに鳥肌を立てた。
若干遠回りにはなるものの、件の村を通過することを僕達は即決したのであった。

しかしその後、お目当ての建物を目の当たりにすることなく本栖湖に到着してしまったのであった。

「雨とテントと腹痛」
目的地への道すがら、新鮮手作りっぽい地元の牛肉や野菜を販売している店を発見し、今夜の焚火に備えた。
もうこの段階でココロは既に涎まみれであったのだがこの段階で山梨は雨であった。
本格的なキャンパーは雨が降ったところでいささかも動揺しない。
何故なら彼らは雨対策も万全であるからだ。具体的には車を使ってテントの上にシートを張ったりする。
そして雨の中優雅に本を読みながら椅子に座りコーヒーを飲んだりするのだ。
もうはっきり言って簡易ハウスになっている。

しかししかし、我々えせキャンパーは雨が降っただけで屋根探しに大忙しである。
悲しいことに屋根がないと火がおこせないのだ。

とりあえず雨が上がることを祈りつつ温泉につかりに行くことにした。
「風呂から上がったら晴れてるって。」

ざざ降りであった。

そして本栖湖近辺で屋根を探しつづけて午後8時、ついに我々は屋根を発見した。

「ちょ、ちょっと今んとこええ感じちゃうかった?」
「え?でもあれトイレやで?」
...というわけでトイレの前のおどり場らしき部分でBBQを決行したのであった。

付け加えたところで我々の人格が疑われても仕方ないがそのトイレはぱっと見は普通のログハウスであったことをやや弱めに断っておこう。
その時の食事の味というのは筆舌に尽くしがたい。最高であった。

次の日の朝、僕は下痢にみまわれて最低であったが幸いにもトイレは近かったのであった。
チャンチャン。


「通行止め」
さて、そのトイレを後にした僕達は南アルプスへと旅立った。

ちょっと前にダウンタウンの「ガキの使いやあらへんで!」という番組の罰ゲームで、浜田さんがフランスにエビアンを汲みに行かされていたのをご存知だろうか。
南アルプスに向かった理由のひとつには、
「南アルプス天然水」を飲んで同じ味がするか確かめよう!
というのがあったのである。今思うと我ながらバカバカしい。

南アルプス街道を順調に北行していた我々であったが、なかなか我々を喜ばせるような野生の風景になっていかないことを危惧していた。
その矢先、吊り橋フェチの我々を喜ばせる一品が姿を現した。

「この、なんちゅうか安全を保障されてない揺れがいいよな〜」
「いやこれマジでやばいて!」

というわけで徐々に人跡未踏具合が増していきイキイキしてきた我々であったが、残念なことに豪雨による土砂崩れで目的地まで辿り着けないことが発覚し意気消沈してしまった。
この南アルプス街道の終点は「広河原」という地であったのだが、我々が行きつける最終地点は「奈良田」という場所までであった。
興味のある方はちょっと地図で確認してもらいたい。
なんとも悔しい思いをしつつも今更ルート変更するわけにもいかず、この奈良田をキャンプ地とすることにした。
この奈良田で我々はこの後、かなり笑える事態に遭遇することになる。

「奈良大王の七不思議」
当然、土砂崩れにより最終目的地まで辿り着けなかった我々は若干の暇を持て余すことになる。到達できるギリギリの所までお昼の早いうちに到着してしまった僕らは

「賞味期限の効用」

「トミ子の独壇場」

「梨とワインと」

「新富士駅にて2」




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